章 56

「妖艶なる聖父は完全に開ききった花のように、極限まで艶やかになっていた。

そして聖子という花も開いた。しかもその美しさは、これからますます増していくだろう。

薄明るい空の下、一人の宮女が盆を手に、音もなく聖子の寝殿の扉を開けて中に入った。途端に心を揺さぶる甘い香りが漂ってきた。寝殿の四方には帳が垂れ下がり、光は明るくなかったが、広い寝台の上に三人の姿がぼんやりと見えた。たくましい二人の男が、細身で白い肌をした男性を抱きしめている。その男性は横向きに寝て、力強い腕と逞しい太ももにしっかりと抱きとめられていた。

「帝上、将軍、朝議のお時間でございます」宮女は静かに告げた。

驚梧は目を開け、低...