章 10

「前向きに考えましょう。惊梧は雪国一の勇猛な戦士ですから、きっと大丈夫ですよ」と千悯は慰めるように言った。

「よく考えてみなさい、聖子よ。まだ挽回の余地はある。惊梧がひと息でも残っているなら、あなたは彼を救うことができる。ただ、これからはこのような過ちを繰り返さないでほしい。そうすれば、あなたが苦しむことはないのだから」

千音はそれまで少年のような心持ちで、日々花を愛で魚と戯れることばかり考え、聖子としての務めに真剣に向き合うことはなかった。あの日、千鎏殿を出た彼は書斎に入り、聖父が残した書物をしっかりと学ぶことを決意した。

千音は書斎で分厚い図録を手に取って眺めていた。それは千悯が聖子に...