454話

アンソニーは一人ではなかった。彼の前には二十代前半の若い男が座っていた。紅茶色の髪、首にはオーバーイヤーヘッドフォンをかけ、パーカーにスタジャン、ジーンズという、いかにもな不良っぽい見た目だ。

それは彼女のろくでなしの弟、ハワードだった。アンソニーの前で媚びへつらっている。舌でも出せば、間抜けな犬そっくりだ。

レベッカは腕まくりをして彼らに歩み寄った。「ハワード、学校はどうしたの? こんなところで何してるのよ?」

ハワードはアンソニーに、法学部への転部計画を話しているところだった。前回、もう少しで刑務所送りになるところだった経験から、怒鳴ったり殴ったりしてもダメだと悟ったのだ。法律を理解...