41話

ウィノナは唐突に顔を上げた。大きな動きではなかったが、彼女の腰に回されたままのザカリーの手は、その体のこわばりを自然と感じ取った。

マシューが車のすぐ外に立っていた。少し開いた窓越しに、彼の視線がウィノナに注がれている。ややカジュアルなシャツとトラウザーズを身につけており、その均整の取れた体つきは、薄暗い影の中でも無視できない存在感を放っていた。

ウィノナの頭が一瞬、真っ白になった。無意識に呼びかける。

「マシュー……」

腰に鋭い痛みが走り、思わず声を上げそうになったが、他に人がいる手前、必死にこらえた。

マシューが車の中のザカリーに気づいたかどうかは定かではない。駐車場は薄暗く、距離...