386話

ザカリーには、今入ってきたのが誰なのか見当もつかなかった。しかし、ボディガードが止めなかったこと、そして階下の指紋認証ロックを通過できたことを考えると、両親かサミュエルのどちらかであるはずだった。誰であろうと、この惨状を見られたくないのは確かだった。

彼はウィノナを一瞥した。彼女の服は少し乱れていたが、まだ着てはいる。一方、彼はといえば、半裸でベッドに手錠で繋がれているという、ひどい有様だった。

手錠を壊そうと力を込める。外の物音に耳を澄ませた。カーペットが足音を消し、電話はひっきりなしに鳴り続けている。しばらくすると、何も聞こえなくなった。

その時、彼は悟った――オースティンにしてやら...