376話

ウィノナは身をかがめ、まるで自分の命がかかっているかのようにザカリーの太腿上部にガーゼを巻き付けていた。ザカリーには彼女の頭頂部と、数本のほつれた髪しか見えなかった。

噛まれた箇所は鼠径部に近く、よく見るためには彼の下着を脇に押しやる必要があった。

二つの牙の痕からはまだ血が滲み出ており、赤く腫れ上がっている。

ウィノナが言った。「血は普通の色ね。これって、毒蛇じゃないってこと?」

「いや、血の色だけじゃ毒蛇かどうかは分からない」

彼女が顔を上げると、二人の距離はものすごく近かった。ザカリーは彼女の瞳に自分の顔が映っているのが見えるほどだった。彼の呼吸が少し荒くなり、彼女の顔に触れよ...