296話

マセラティは道路を走り続け、後部座席から振り返ると、炎が空の闇を舐めるように燃え上がっていた。遠くからはサイレンの音が聞こえてくるが、ここまで到着するにはまだしばらくかかるだろう。今は病院へ、チャーリーのもとへと向かっている。

お父さんが無事でありますように、とクリードに寄りかかり、彼の腕が私を包み込む中で祈る。どうか無事でありますように。

チャーリー・リードはその夜、死なない。

その代わり、彼はその後も多くの夜を生きた。たくさんではないが、きちんとお別れができるだけの、そして最期の時が来たとき、私が彼のそばにいて指を絡ませていられるだけの時間はあった。彼が最後に微笑み、私を見上げて愛し...