章 838

「さすがこいつ、何かたくらんでやがる。こんな卑怯な手を使わないほうが、むしろ彼らしくないだろうな」

奴の悪巧みを見破った以上、絶対に阻止して甜甜を守り抜かねばならない。任務を果たせないだけでなく、ボディガードとしても失格になってしまう。それはあまりにも情けない。

万天豪が立ち去り、スタッフがまだ現れていない隙を狙って、私はこっそりと忍び寄った。下薬されたワインボトルを手に取り、周囲に人がいないことを確認してから、目印をつけておいた。

このままここに置いておけば確実に危険だが、持ち去れば万天豪が警戒するだろう。そうなれば別のボトルに薬を入れるに違いなく、私の努力も水の泡になる。だから目印をつ...