章 211

最後の「芯」という字が口から出てこなかった。まるで呪いでもかけられたように言葉が止まり、ドアをノックしようとした手も宙に浮いたまま。そのまま何とも言えない気持ちで小区を後にした。

正直、このリズムはおかしい。

本来なら俺が彼女にキスするはずだったのに、どうして逆になってしまったんだ。

しかも彼女が俺にキスしたんだから、俺はそのまま押し倒すべきだったのに、どうして固まってしまったんだ。

俺様がこれだけ女の子を口説いてきて、一人の女に押されるなんてありえないだろ?

ありえない、絶対に。

そう呟きながら、小区を出てしばらく歩いたところで、急に太ももを叩いた。

油断した、さっきはそのまま押し倒すべき...