章 43

ぼーっとしている林浩は、沈惜颜の後ろ姿が視界から消えた後も、手に残る微かな温もりを感じながら、ふと横を見ると、陳珊珊が心配そうな表情で自分を見つめていることに気づいた。その顔には深い思いやりが浮かんでいた。

林浩は深く息を吸い込み、陳珊珊の手を引いて会社の中へと歩き出した。陳珊珊は仕事があるのだ。天海グループはとても大きく、オフィスビルだけでも三棟あり、陳珊珊が働いているのは本館ではなく、右側にある三十階建て以上のオフィスビルだった。

これまで林浩は陳珊珊の職場を訪れたことがなかった。道中、林浩が陳珊珊の手を握っていたため、数え切れないほどの社員たちがこの光景を目にして驚きを隠せなかった。...