章 410

「そのとき、きっと自分も楚家の門主の座を狙う有力な競争者になっているだろう」

欧陽志遠が乗る飛毯はすぐに西域の鳴沙山の上空に到達した。鳴沙山の麓には、千古の奇景である月牙泉がある。月牙泉の周りは緑豊かで、生い茂る植物が枯れ黄ばんだ荒野の中に点在し、自然の不思議な一面を見せていた。

小娘は瞼をぱちぱちとさせると目を開け、ぱっと起き上がって、目をこすりながら欧陽志遠に尋ねた。「志遠お兄ちゃん、私たちどこまで来たの?」

「鳴沙山を過ぎたところだ」欧陽志遠は答え、視線を遠くに向けて神識を伸ばすと、すでに地平線の果てから熱波が押し寄せてくるのを感じた。

火焰山までまだ二百里ほど、もう遠くない。

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