章 279

二人は九龍城カジノの入り口に着くと、すぐ近くからマイバッハが一台やってきた。七百万元以上する高級車だ。

ガチャン！

車が停まるや否や、斌仔は満面の笑みを浮かべ、腰を低く曲げてお客の車のドアを開けた。

「王社長、いらっしゃいませ！」

斌仔は漢奸が皇軍を見るかのような媚びた表情で、さっきまでの彼とは別人のようだった。

車から降りてきたのは中山服を着た中年男性で、四角い顔立ちに太い眉と大きな目。その雰囲気から文化産業の富豪と見受けられ、かなりの風格があった。

彼が車から降りる際、斌仔は車のドアの上部に手を添え、王社長が頭をぶつけないよう非常に丁寧に注意を促した。

「斌仔」王社長は斌仔に...