章 209

「森兄だ!」

彼はぴしっとしたスーツを着こなし、金髪に染めた二人の若い衆を引き連れ、威勢良く煙草を咥えながらこちらへ歩いてくる。

まったく、この森兄はまるで幽霊のようだ。どこにでも現れる。私はほとんどいつも予期せぬ形で、様々な場所で彼とばったり会ってしまう。

もっともKTVに現れるのは、まあ理にかなっているといえば理にかなっている。

森兄は目が利く。すぐに私だと気づいて、遠くから声をかけてきた。「よう、兄弟、またお前か?」

私は適当に「森兄」と一声かけて、特別な眼差しでこの善悪両面を持つ社会の大物を見つめ、彼との間の様々な因縁が頭をよぎった。長い間、私はずっと心の中で問い続けていた。...