章 335

「今はまさに釜茹でのアヒルだ、もう逃げられない」

社長があれだけの人前で名指しした以上、目の前が血の道であろうとも突き進むしかない。勇気を振り絞って壇上へと歩み出た。

途中で何度も逃げ出したくなり、何か言い訳をつけて死んだふりをしようかとさえ思った。

だがこれは天から降ってきた大チャンスでもある。これだけの人の前で顔を売れるのは、何年も待ち望んだ初めての機会だし、もしかしたら唯一の機会かもしれない。

私のような小物が一夜にして業界で知名度を上げられる絶好の機会だ。より多くの人に認識されれば、これからの道はきっと歩きやすくなるはずだ。

震える足で壇上に上がり、司会者から渡されたマイクを...