章 287

「ああ、私たちみたいな外回りの仕事をしていると、底辺の人間とも色々付き合いがあるんだよ。

あいつは若い頃から詐欺師だった。あの時もバッグを持っていた。

だから思い切って君たちを案内した。捕まっても、金は私の手元にはないからね」袁思博は頷いた。

その時の私の気持ちは複雑だった。再び騙されたことへの怒り?それとも人違いではなかった安堵?

結局あのバッグは見つからなかった。やはり年季の入った詐欺師は手強い。演技が見事なだけでなく、準備も万全だったようだ。

よく考えてみると、おそらくドアを閉め、私の視界から消えた一瞬にバッグをすり替えたのだろう。ビニール袋と交換したに違いない。

あの数秒間だけが、私の...