章 116

妻は何も言わず、黙々と食事を続けた。

私が何を言いたいのか、もう察しているのかもしれない。だから敢えて聞かないのだろう。

勇気を振り絞って切り出した。「彼女が土曜日に時間があるかって聞いてきたんだ。クラブのメンバーが歓迎会を準備してるらしい」

妻はまだ何の反応も示さない。手のひらに汗が滲んできた。恐る恐る尋ねた。「行ってみる?」

まるでこの質問を待っていたかのように、妻は少し微笑んで私を見つめ返した。「行きたいの?」

また質問を投げ返してきた。こういう困った場面では、いつも私に決断を押し付けるのだ。

私が困っているのをいいことに、妻はふざけるように干し貝柱を私の茶碗に入れてきた。「これ、たくさ...