章 86

向天打飞機は種馬作家である。

ある程度名の知れた種馬作家だ。

終点文学ネットという大物作家が跋扈し、小物作家が草のごとく生える肥沃な土壌においても、一定の頻度で名前が挙がる種馬作家である。

三年間一日も欠かさず毎日一万字を更新し続ける超絶な執筆速度と意志の強さ。定期的に八章爆更新するという山河をも呑み込むような胆力。同じく無名の駆け出しから這い上がってきた作家たちにとって、それは望むことはできても到達できない神話であり、出会えても求めることのできない伝説だ。

節操を犬に食われたような大胆な後宮展開と、知能を犬に食われたような世界征服展開は、彼が数多の読者に語り草にされる象徴的な特徴...