章 60

「古くて太い樹の後ろから、二人の姿が現れた。

正確に言えば、歩いて出てきたのは一人だけで、もう一人は車椅子のような小さな車に乗せられていた。

立っているのは、細い腰に曲線美を持つ美しい女性だった。車椅子に座っている方は首から下が厚い毛布に包まれていたが、露出した頭部は沈清秋にとって見覚えのあるものだった。

剣はまだ前進していた。沈清秋はそれをしっかりと掴まざるを得ず、力の入れ具合で剣刃が彼の手のひらを半分近く切り裂きそうになっていた。

彼は表情を変えることなく、作り笑いを浮かべて言った。「秋お嬢さん、宮主様、お久しぶりです」

秋海棠の目は怨みと怒りに満ちていた。老宮主は頭を少し動かし...