章 651

二人が出てきた途端、皆が驚きの表情を浮かべた。劉俊剛がこうして出てこられるとは、群衆の誰も予想していなかったからだ。だが、彼の手にはまだ手錠が掛けられていた。劉俊剛は手錠を高く掲げ、皆に向かって手を振った。それを見た人々は我先にとカメラやビデオ機器を構え、一斉にシャッターを切り始めた。劉俊剛は微笑みながら皆に会釈し、陳志敏の前まで歩み寄った。

陳隊長は満面の笑みを浮かべていた。初対面ながらも、目の前の劉俊剛がただ者ではないことが分かった。このような状況でも全く動じず、少しも慌てる様子がない。こんな人物は並の器ではない。銭隊長が今回やらかした事件は、本当に無謀だったと思わざるを得なかった。

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