章 57

女皇の天幕の外で、炎夏は暗黒色の侍衛服を身にまとっていた。そっと天幕の隙間から中を覗くと、女皇が地理的な位置図を見つめながら頭を悩ませている姿が見えた。時折目を閉じて休息するものの、一秒とたたないうちにまた目を開けて地図に視線を戻す。

炎夏はその姿を見て胸が痛んだ。懐から睡魔虫を取り出すと、虫は天幕の中へと飛んでいき、女皇のそばに寄ると耳から中へと潜り込んだ……

たちまち女皇のまぶたが重くなり、やがて机に倒れ込むように静かに眠りについた。炎夏は慎重に中へ入り、女皇の寄せられた眉間をそっと撫でて伸ばし、軽く背中を叩いて少しでも楽に眠れるようにした。

炎夏は心の中で思った。「あなたは私に来て...