章 145

暁玲が去った後、墨陽はテーブルの上に鴛鴦の戯れる様が刺繍された香り袋が残されていることに気づいた。中からは桃の花の香りが豊かに漂ってくる。

墨陽は香り袋を手に取り、きつく握りしめた。この暁玲はまだ懲りていない!善人も悪人も見分けられないとは!

「こんなものに価値などない。この感情にも何の価値もない!」墨陽は顔に一切の感情を浮かべず、手にした香り袋を何気なく門の外の芝生に投げ捨てた。そして振り返ることなく歩み去った——

こうして墨陽は密かに青児を探し出し、この厄介者を殺す機会を窺うことにした。心変わりする女など……兄さん、本当に惑わされているんだ!

以前暁玲に直接尋ねた際の話から、墨陽は...