章 763

時計の針が九時三十分を指し示した。

営長は目の前のざわめきと議論の声に目を向けた。すでに今日のオークションに参加する客が次々と会場に到着していた。

会場を見渡すと、大半は女性だった。営長は先ほど席を後方のメディアエリア近くに移動させていた。

ここなら安全で、かつあまり目立つこともない。唯一影響があるとすれば、営長を見かけた周辺の記者が数人、好奇心から近づいてきて質問をするくらいだが、すぐに戻っていった。

営長は今、唐蕭からの指示を待っているだけだ。指示がなければ、後ろに座って現場を見ているだけでいい。

「李萌萌が来たぞ。みんな注意しろ」

そのとき、メディアエリアから声が上がり、後ろがわっと騒...