章 672

範桶の家を出た時には、すでに午後だった。

唐萧が範真を治療したことで、白月娥は午後の勤務をすべて休んでしまった。範桶はもともと休みだったので、唐萧に夕食も家で食べていくようにと何度も勧めてきた。

この誘いに対して、唐萧はもちろん丁重に断った。すでに一食分をご馳走になり、食後にお茶まで飲ませてもらったのに、もう一食となると、あまりにも厚かましく見えてしまう。

範桶の送り迎えの申し出も断り、唐萧はゆっくりと歩いて、この見知らぬ街区を行くことにした。

自分で歩いて帰ることにしたのは、ただ京城を見て回り、少し馴染もうという思いからだった。せっかくここに来たのだから、観光もしたいと思うのは当然だろう。

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