章 648

唐蕭は車を追いかけることができなかった。普段なら問題なかっただろうが、千月を背負っているため動きが制限されていた。

目の前には二つの分岐点があり、一瞬の隙に車がどちらに行ったのか分からなくなってしまった。

追いついた時には土埃が舞い上がっていて、エンジン音を聞き分けようとしたが、ちょうどその時、上空を飛行機が飛んでいき、判別能力を乱された。

唐蕭は内心で「ついてない」と叫びながら、振り返って千月を一瞥して言った。「お嬢さん、さあ良かったね、見失っちゃったよ」

「見失ったなら探せばいいじゃない。私に言ってどうするの」千月はまるでこの件が自分には関係ないかのように言った。

唐蕭はそれを聞...