章 617

混雑した道路を、一台の車が一定の速度で走っていた。

車内には三人が乗っていた。運転席の龍五、助手席の唐蕭、そして後部座席の千月だ。

千月は昨夜戻ってきたばかりで、今朝早く、三人はこの目的地へと向かった。

彼女は戻ってきた後、何も言わずに自分の部屋へ直行して休んでいた。

小組が重力県へ向かう目的についても、彼女は何も尋ねなかった。出発する時も、ただ黙って車に乗り込み、後部座席に座った。

「千月、今回の任務のこと、趙局長から聞いてるか?」目的地に近づいたところで、龍五はついに我慢できず、後ろの千月に恐る恐る尋ねた。

唐蕭はバックミラー越しに千月の様子を窺ったが、彼女は何の反応も示さず、ただ窓の外...