章 55

銀針を引き抜き、鹿皮のコートを丁寧にしまう。

これは父親の唐仁天が唐蕭の二十歳の誕生日に贈ってくれた品だった。

唐仁天は息子に医術を継ぎ、世の人々を救ってほしいと願っていたが、不必要な場面では、この若造が目立つことのないようにとも願っていた。

かつて自分が医業から身を引き、姿を隠した理由を思い出すと、唐仁天は今でも身震いする。

だが残念なことに、父はその後性格が大きく変わり、自分が隠遁しただけでなく、唐蕭にもそれを表に出すことを許さなくなった。そのため、唐蕭は父の前ではめったにそれを取り出すことはなかった。

「患者の出血は止まりました。手術を始められます...