章 529

後海も唐蕭を見かけ、彼だと気づいた瞬間、一瞬固まってしまった。

「後少、皇朝も安全とは言えないようですね。こんな場所で喧嘩ができるんですから。はは!」そう話したのは後海の隣に立っている青年で、二十三、四歳ほどの様子だった。

白いシャツに黒いズボン姿で、一見すると風采の良い男だが、顔をよく見ると極めて蒼白い。中医学的に言えば、これは体内の気が虚している証拠だ。

この人物は拓跋剣鋒といい、省都の四大家族、拓跋家の若き公子だ。省都では後海と同様に、太子党に属している。

「そう言い切れないよ。この連中が皇朝で喧嘩を始めるなんて、相当な背景があるはずだ。俺たちも気をつけないとな」

「あっ、ははは!笑わせ...