章 257

第二駅に電車が動き始めるとすぐに、唐蕭が泥棒と断定した痩せ面の男は、やはり落ち着きがなくなり、こそこそと辺りを窺い始めた。

唐蕭は既に彼に注意を向けていたので、当然ながら痩せ面が動くと、彼の視線もそちらに引き寄せられた。しかし、注意を引かないように、唐蕭はあくまで余光で見ているだけにした。

痩せ面は明らかにベテランのスリで、彼は非常に慎重に行動し、しばらく周囲を見回してから、ようやく一人のターゲットを定めた。そのターゲットは他でもない、公文書カバンを手に持った白いワイシャツの男だった。

おそらく彼は前からこのターゲットを狙っていたのだろう。ただ今になって行動に移そうとしているだけだ。そう...