章 82

「入るべき?」蘇妍の心に一瞬だけ思いが過ぎったが、まるで戻って来なかったかのように、静かに家のドアから離れ、廊下の冷たい壁にもたれながら荒い息をついた。

どんなに警戒しても、結局は身内の裏切りは防ぎようがない。自分の実の母がこんな事をするのは間違っていると分かっていても、彼女には立ち上がって止める勇気がなかった。後で顔を合わせられなくなるのが怖かったのだ。

蘇大宇にこの事を告げることも考えたが、理性がそれを許さなかった。彼女はこの家が崩壊するのを望んでいなかった。周超への感情も、この家への愛情も深かったからだ。

とにかく頭の中は混乱し、途方に暮れ、一人魂の抜けたように街をさまよった。

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