章 611

たとえ目の前に彼女や妻が座っていても、男たちは思わず彼女を盗み見してしまうものだ。

そんな男たちが何を考えているのか、李羨羨はあまり興味がなかった。

どうせ考えていることと言えば、彼女で遊びたいということだろう?

ステーキを食べ終えた李羨羨は、映画館の近くをぶらついていた。

七時半まであと十分、中サイズのポップコーンと一杯のコーラを買った彼女は2番スクリーンへと足を踏み入れた。

6列目の3番席に座った李羨羨は、ちらりと4番席を見やった。

もし夫が来ていたら、この席は夫のものだったはずだ。

3Dメガネをかけた李羨羨は、他の映画の予告編が流れるスクリーンを見つめていた。

七時三十五分になってよ...