章 48

蘇葉が黙っているのを見て、唐杺は心の中で何かが一瞬で落ちていくような感覚を覚えた。何が落ちていったのか、そして落ちる前に何がそこを満たしていたのか、それは言葉にできなかった。

「B612の薔薇はなぜ特別なの?」

訳が分からない表情で蘇葉を見つめながらも、唐杺は自分の答えを口にした。

「彼女が心の中に生きているからだよ。他のどんな薔薇とも違う。誰かが一生をかけて大切にしたいと思うほどに」

蘇葉は微笑んだ。「わかったよ!ありがとう、杺杺」

彼女は今、何を言ったのだろう?そして彼は何を理解したというのか?実際、こういう質問をする彼にとって、彼女の答えなど必要なかったはずだ。蘇葉が立ち上がっ...