章 2

「冗談も言えるなら大丈夫じゃない?」琴客は横から取ったティッシュを差し出した。「はい、どうぞ。杺姉さん、もう泣かないで。あんな二人のために涙を流すなんて、本当にもったいないよ。水資源は彼らよりずっと貴重なんだから」

ティッシュを受け取りながら、「琴ちゃん、実は悲しみの涙ってね、ほとんどが自分自身のために流すものなの。たまたま悲しい部分に他人が関わっているだけ。私がわざわざ悲観する必要なんてないわ。もう気にしないと決めた瞬間から、彼には私の感情を揺さぶる資格なんてなくなったの」深く息を吸い込んだ。唐杺よ、唐杺、願わくばそうであってほしい!

少し間を置いて、「琴ちゃん、分かる?思い出が散り散りになった時、私はようやく何が淡々としていられるかを学んだの」そんな見知らぬ様子の唐杺を見て、琴客はもう何も言わなかった。ある種の感情に対しては、どう慰めていいか分からなかった。彼女は知り合った頃から、魂が宿り直した少女のようだった。子供の頃から今まで、ずっとこんなに成熟していて、ほとんど変わらなかった。だから自分の母親がいつも彼女を「他人の子の模範」として挙げるのも無理はない。もし自分がこんな目に遭ったら、きっと家中が大騒ぎになって落ち着かないだろう。結局、誰が誰を恐れているというのだろう!

二人はもう何も言わなかった。唐杺は自分が拾い上げた招待状を見つめた。本当にすべて過ぎ去ったのだろうか。青春はこうして振り返ることもなく去っていき、あの青々とした日々も容赦なく連れ去ってしまった。手放せなかったものも、時の流れの後ろに置き去りにされ、手放すべきものになった。

あの頃の海誓山盟も、どんなに真剣でも結局はこの程度のものだったのだ。並木道の影は歩いているうちにやがて消えていった。学生の頃は、それぞれの家に帰らなければならなかったから。大人になってからは、理由もなく別れを選んだ。あれほど激しかった思いも、予測できなかった未来の中で平凡なものとなった。誰が知っただろう、何年も後に、私たちの感情はたった六文字でまとめられることになるとは。沈黙、あなたは知っている?どんな六文字か?「こうなった、もういいよ」

ニューヨークのビル

「蘇少!」蘇少と呼ばれた男は振り向かず、ただ無関心そうに手のタバコを消し、細めた目で高層ビルの下を絶え間なく流れる動く物体を見下ろしていた。青い煙がゆっくりと散っていく。降り注ぐ星の光さえも、彼の背の高いシルエットほどには冷たく薄情には見えなかった。彼は背筋をピンと伸ばし、骨の髄まで気品と冷淡さを漂わせていた。

淡々と一言だけ吐き出した。「言え」「こちらは沈家から送られてきた招待状です。ご主人は、行きたくなければゴミ箱に捨てても構わない、蘇家は沈家に大した顔を立てる必要もない、彼らにはそもそも釣り合わない相手だと仰っています」それを聞いて、男は軽く笑った。「さすが我が家の親父だな。この高慢さでは、彼は一度も負けたことがないよ」

陸庭は冷や汗をかきながら心の中で思った。蘇大少、それはお互い様じゃないですか。そして手に持った招待状を見ながら、お前はきっとゴミ箱で一晩過ごすことになるだろう、下手すれば直接焼却だ。こんなもの、うちの若旦那が受け取るはずがない。まして出席なんて。沈家も見る目がなさすぎる、自ら恥をかくようなものだ、本当に面の皮が厚い。陸庭は口をゆがめた。

陸庭がまだ感心していると、蘇晔が声を出した。「よこせ」「え?」さっき蘇少は自分にそれを持ってこいと言ったのか?聞き間違いだろうか!「二度言わせるな」陸庭はすぐに差し出した。招待状を受け取り、蘇晔はその上に金箔で刻まれた名前を見つめ、瞳を深くし、唇の端をわずかに上げた。蘇晔は招待状を返し、陸庭はすぐに受け取った。

「時間をよく確認して、スケジュールに組み込め。その日に必要なものをすべて準備させろ」陸庭は驚いて蘇晔の背中を見た。「行かれるのですか?」「なぜだ?問題でも?」陸庭はすぐに首を振った。「いいえ、そんなことは。あなたがいらっしゃるなんて、彼らにとっては最高の栄誉です。ただ彼らにそんな幸運があるとは思いませんでした。では下がって、準備を始めます。日にちも近いですし、すべて事前に手配しておきます」「ああ」

陸庭が去った後も、蘇晔は同じ姿勢を保っていたが、口元の弧には普段にない温かさがあった。「杺杺、久しぶりだな。やっと会えるか。情けない小娘め、おそらくとっくに俺のことなど忘れ果てているんだろうな」

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