章 101

「展覧会には人が行き交っていた。一人で来る人もいれば、連れ立って来る人もいる。遠くに見える三人家族の光景に、蘇曄はしばらく羨ましさを感じ、黙って頭を下げた。

「蘇曄」

「どうしたの?」

「唐穎が行ってしまった」

蘇曄はその言葉を聞き、心が沈んだ。それがどういう意味なのか、怖くて聞けなかったが、それでもその話題に乗った。

「病院に駆けつけた時、看護師が言ってたよ。昨日、出て行ったって」

唐杺は頷いた。「彼女は誰にも行き先を告げず、ただ消えてしまったの」

蘇曄はどう話を続けたらいいか分からなかった。

「唐穎が私に手紙を残したわ。病院のスタッフは唐穎が私に行き先を伝えたと思ったみたい。で...