章 64

「早く良くなって、冷さんを心配させないように。さっきは髪の毛が逆立つほど焦っていたわよ」と譚おばさんは冗談めかして言った。

井燃は食事を終えると眠たいと言い、冷凛は譚おばさんに帰るよう促し、一歩も離れずにしっかり看病すると何度も約束した。

傷口は蒸れさせられないので、薬を塗ったまま下半身を出して乾かしていた。ほぼ5分おきに額に手を当て、薬の効果で徐々に熱が引いていき、眠りも次第に安定してきて、ようやく一安心した。途中で井燃が一度目を覚まし、果物が食べたいというので、冷凛はライチを数粒食べさせ、冗談交じりに「病気が治ったら、今度は後ろの小さな口にも食べさせてあげよう」と言った。

井燃は鋭く...