章 96

電話を切ると、私は夏艶艶のそばに歩み寄った。夏艶艶が尋ねてきた。「誰からの電話だったの?」

「母さんからだよ。早く帰るように言われた」私は夏艶艶が嫉妬するのを恐れ、それに芸姉との関係も説明しづらかったので、嘘をついた。

夏艶艶は疑うことなく、笑いながら言った。「そう、じゃあ早く帰りなよ。うちのお母さんがもうすぐ食事を持ってくるから」

「うん、ゆっくり休んでね。明日また見舞いに来るよ」

病院を出て、時間も遅くなっていたので、バスに乗って芸姉の借りている部屋へ向かった。

芸姉の家に着くと、ドアをノックした。

数秒後、ドアが開き、暖かい空気が顔に当たった。明らかに芸姉はエアコンをつけてい...