章 83

B市のとある高層ビル35階にあるレストランにて。

ここからはB市で最も美しい夜景を望むことができる。普段なら賑わっているこの場所も、今日は一人に貸し切られていた。

キャンドルライトの下で流れるバイオリンの優雅な調べが、特別な雰囲気を醸し出している。

葉詩語は床から天井まである窓の外を見つめていた。ネオンの光に包まれたB市は、彼女の記憶の中よりもさらに華やかになっていた。こんなに長い年月が経ち、戻ってきた今では、景色も人も、すべてが変わってしまっていた。

「詩語」鐘政鳴は彼女の物思いにふける姿を見つめながら、端正な顔に温かみを浮かべた。長い脚を組み、両手で顎を支え、桃の花のような瞳をパチ...