章 48

墨祖国は囲碁が好きだということは、ビジネス界では公然の秘密だった。

ただ、彼は普通、他人と対局することはなかった。

多くの人が内々で言うには、墨老の棋の腕前は素晴らしく、凡人との対局など眼中にないのだと。

「いや、違う違う、私の馬はここには行かない」

「私の砲を取るな、別の方に行きたいんだ」

……

雲想の気の長さのおかげで、さもなければとっくに盤をひっくり返して立ち去っていただろう。

幼い頃から祖父に教わったのは、一度置いた石は悔やまないということ。

だから彼女は一手一手を特に慎重に進めていた。

結果、目の前の老人に出会うことになり、一手進んでは三手悔やみ、一局で何度悔やんだことか。

「葉さん...