章 184

雲想はこの場違いな出で立ちが宴会の警備員の注意を引くだろうと思った。タキシードやドレスの群れの中に、突然黒い長衣に寝間着姿の女性が紛れ込めば、どう見ても場違いだ。

すでに道を阻まれている。「お嬢さん、宴会にご参加ですか?」

表向きはそう尋ねながらも、心の中では「入口の受付は何をしているんだ、誰でも中に入れるのか」と毒づいていた。

もしも中にいる誰かを怒らせでもしたら、自分たちの責任問題になる。

「わ、わたし……墨星澤を探しています」雲想は少し躊躇いながら言った。

墨星澤という名前は、ただの通りすがりの名前ではない。その名を聞けば、すぐにMY集団を思い浮かべるほどだ。

男は雲想が墨星澤を...