章 82

林はおそるおそる体を起こした。裂けるような痛みが後穴から走り、思わず眉をきつく寄せる。宋の口からは小さな呻き声が漏れた。林は警戒して陸の方を見やったが、二人とも深い眠りに落ちており、目覚める様子はない。林は素足で床に降り立った。まだ脚が震えている。床から赤い絹布を拾い上げ、その中に包まれた刀を手に取った。

宋は二度と目覚めることはない。横向きに寝ていた彼の背中から、林の刀が心臓を貫いていた。熟睡していた宋は痛みで目覚める間もなくショック状態に陥ったのだ。林は刀の柄の赤い布を自分の手に巻きつけ、再び宋の横に横たわった。

この死体からは息遣いも消え、次第に体温も失われていく。林には人を殺したと...