章 972

「二人で中に入った。

バーカウンターから、肩を露わにしたチャイナドレスを着た女性が出迎えてきた。

「あら、陳さん!いらっしゃいませ、ようこそ!」

この女性は三十代で、濃いメイクをしていたが、それでもなかなか美人だった。

彼女のこの熱烈な歓迎ぶりと『陳さん』と呼んでいることから、陳二狗はここの常連客のようだ。

「ははは、ママ、こちらは幼なじみでね、今日は彼を連れて遊びに来たんだ!」

「いいわよ、ありがとう、お兄さん」ママは満面の笑みを浮かべた。

見たところ、このホールもかなり小さく、このママの他には警備員が一人隅に立っているだけで、ひっそりとしていた。歌の音も全く聞こえない。

どうやら、このカラ...