章 896

「妻の心の中で、私に対して唯一申し訳ないと思っていることといえば、会社の副社長である林志山とのあの一件だけだろう。それを隠していた理由には、妻なりの辛さや苦しさがあったのだ。

だから妻は、私たちの間の深い絆は、他のどんなことでも壊せないものだと心の中で確信していたのだろう。

しかし今、妻の身体は強い反応を示し始め、抵抗していた心も次第にこの甘美な欲求を求めるように変わりつつあった。

だが、こんな人目につく場所で、正体も知らない見知らぬ男に指で好き勝手に揉みしだかれ、撫で回され、弄ばれるなんて。

慎み深く伝統的な価値観を持つ妻の心は葛藤で引き裂かれ、魅力的な顔には激しい葛藤の色が浮かんで...