章 507

「ね、あなたも知っているでしょう。私の夫のことよ。嫁いだ時からもう年の差は二十歳以上あったし、今ではすっかり体も弱くなって、もうすぐ退職して肩書きも手放すことになるわ。

麻雀か釣りに行くだけで、夫婦生活なんてものはまったくないのよ。最初に彼に嫁いだのは、ちゃんとした家庭と仕事を得るためだったわ。

でも、これだけ長い間彼に尽くしてきて、今になってようやく気づいたの。このままじゃ、もしかしたら一生このままなんじゃないかって。

子供も家庭もあるけれど、私自身は一度も性の素晴らしさや狂おしさを味わったことがないわ。いつか年を取って、ひどく後悔する日が来るんじゃないかって怖いの。

それに、心配しなくても...