章 1168

「まったく、妻から一本も電話がなかったのか」と失望する思いが頭をよぎった。

これが夫である私の立場だ。もし昨夜家を出て行ったのが鵬鵬だったらどうだろう?

きっと妻は探し回って、すぐに警察に通報していただろうな。そう考えると、少し妬ましい気持ちが湧いてきた。

だが考え直してみれば、私だって成人だ。十代の子供と同じように扱われるわけにはいかない。

私はそれだけ大人なのだから、妻が心配しないのも当然だろう。鵬鵬はまだ子供だし、未成年と比べてこんなことで嫉妬するのは、確かに適切ではないな。

家に戻ってまず最初に向かったのはトイレだった。昨日見落としていた監視カメラのメモリーカードを取り出した。

昨晩...