章 1035

私が階段の踊り場に入ってから、ようやく少し息をつくことができた。

このホテルにはエレベーターがあり、あの二人もエレベーターから出てきたばかりだった。階段はほとんど人が通らない場所だ。

裸の妻を抱えて自分たちの部屋がある階まで降りてきた今、残るは長い廊下を通って部屋に辿り着くだけだ。

廊下の方を覗いてみると、フロア全体が静まり返っており人影一つ見えなかった。実際、食事のために出入りした三回とも、この階の他の宿泊客を見かけたことがない。おそらく宿泊者はかなり少ないのだろう。

突然、衝動に駆られた私は抱えていた妻を下ろし、首輪についた鎖を引っ張りながら言った。

「この雌犬め、膝をつけ。四つん這いにな...