章 272

満杯の三つのスーツケースに詰め込まれた毛沢東紙幣。初めてゴルフが重さに耐えられないと感じた龍根は、道中ずっと細心の注意を払って運転していた。油門を踏み過ぎて毛沢東紙幣を揺らしてしまわないように気を配りながら。一つの箱には赤い大札、もう一つには緑色のカエル札、そして最後の一つには二十元札。十元や五元札については、龍根は持ち帰る気にもならなかった。

それに、人として度を越した真似はできないものだ。あの女を抱いて、金も持ち帰ったのに、恩を仇で返すようなことはできない。

「うん、紅綢のあのおばさん、なかなか悪くないな。あと二回ほど抱けば自分の人間になるだろう」龍根はハンドルを握りながら呟いた。「今...