章 775

秦朗が砂漠に足を踏み入れようとした瞬間、背後から突然女性の声が聞こえた。

「旦那様、私も連れて行ってもらえませんか?」

「ん?」

秦朗は足を止め、少し驚いて振り返った。

そこにはナターシャが立っていた。全身が震えていたが、それでも勇気を振り絞って言った。「旦那様、あなたは何かを探しているようですね。私を連れていってください。私は幼い頃からこの西北の地で暮らしてきました。少数民族の言葉もいくつか話せます」

「ナターシャ!」

彼女の隣に座っていたハンサムな男性が、すぐさま小声で叫んだ。周りの人々も恐怖の眼差しで彼女を見つめた。

しかしナターシャはそこに立ち続け、恐怖で体が震えていたものの、退かなか...