章 638

「私たち項家は、一人の小賊に出会ってから元気を失ってしまったが、しかし普通の者に揺るがされるような家ではない」

「たとえ貴方が宗師であろうと、たとえ堂々と入ってこられたとしても、老婆の後輩を勝手に辱めることは許されませんよ」

コン、コン、コン……

大広間に杖の音が響き渡り、秦朗の放っていた威圧感が明らかに薄れていった。多くの人々の意識がその杖の音に引き寄せられ、恐怖心がゆっくりと落ち着いていき、皆が次々と外の方を見た。

秦朗の表情が微かに動いた。この声の老女はなかなかの修行を積んでいるようだ。少なくとも、彼秦朗がどのような人物であるかを知りながらも、あえて前に出て声を上げる勇気がある。...