章 632

ふぅ……その時、秦朗の姿がふと閃き、両手を固く握り締めた……

野狼の顔色が一変し、反射的に銃に手を伸ばそうとしたが、手首に冷たさを感じ、その直後、激痛が頭に走った。

思わず悲鳴を上げ、よろめきながら三、四歩後退し、右手を見下ろした。

手首がきれいに切断され、右手の平が消えていた。

「お前……お前は……」野狼は痛みに息を呑みながら、怒りに任せて秦朗を睨みつけた。

そこには秦朗の傍らに白い衣装の少年が立っていた。全身から冷気を放ち、無表情で、手には右手の平を提げていた。

彼は血まみれの右手の平を秦朗の前に差し出した。

まさに野狼の手だった。

十数名の仲間たちは顔色を変えた。

彼らは秦朗がこれほどの...