章 379

秦朗が今用いている武道は、邀月宮の秘蔵絶技、失伝して久しい「搗薬真経」である。

「搗薬」という名は、中華に古くから伝わる月に玉兔が薬を搗いているという伝説に由来している。

搗薬真経は一見単純だが、実は極めて複雑で、秦朗はそのほんの一部しか会得していない。しかし、搗薬真経で発生させたエネルギーを鐘玉の治療に使えば使うほど、邀月宮の秘技の威力を実感していた。

その威力は太陽のような宇宙の烈火ではなく、少女のように柔情あふれ、水のように優しく、温かな光を放つものだった。

そして、その柔情が深ければ深いほど、功力は大きくなり、まるで大河の水のように連綿と豊かになる。一方、冷酷無情な者がこの技を使えば、...