章 352

「ほう、ほう、いい度胸だ」残月使は口元の血をゆっくりと拭い去り、目に殺気を急激に宿らせると同時に、深い驚きも浮かべた。

彼が先ほど放った力は、十数台の大型トラックの重量を優に超えるものだったが、目の前の秦朗はまったく無傷だった。まさに信じ難い光景だった。

一方、残月使自身は内傷を負っていた。特に深刻ではないものの、数十年来江湖を縦横無尽に駆け巡ってきた彼にとって、初めての経験だった。

「他の三使よ、今日は手ごわい相手に出くわしたようだ。一緒に仕掛けるぞ」残月使は静かに袖をまくり上げ、雪のように白い肌を露にした。男でありながら女性的な美しさを持ち、見る者の心を思わず揺さぶるほどだった。

秦朗は地...